退職勧奨(勧告)と不当解雇
退職勧奨(勧告)とは,会社が労働者に対して,自分から退職するよう働きかける行為をいいます。会社が早期退職優遇制度の利用を勧めるというのも,労働者に退職を勧めるという点で,退職勧奨(勧告)の1つといえます。退職勧奨(勧告)は法律的には,会社による雇用契約の合意解約の申込み,あるいは,会社が労働者に対し合意解約の申込みをしないかと誘いこむ(申込みの誘引)行為と考えられています。
退職勧奨(勧告)は解雇予告とは違う
労働者が使用者から突然,「会社を辞めて欲しい。」などと言われると,会社から解雇されたと思うかもしれません。
しかし,解雇とは,使用者(会社)が一方的に(労働者の同意なく)雇用契約を終了させる旨の意思表示であるのに対し,退職勧奨(勧告)は合意解約の申込み或いは申込みの誘引であり,性質が全く違います。
使用者から「会社を辞めて欲しい。」などと言われたら,使用者に対し,解雇の意味なのか退職勧奨(勧告)の意味なのか必ず確認しましょう。
また,解雇であれば,解雇の時期,解雇理由等が記載された解雇予告通知書という書面の交付を求めましょう。
退職勧奨(勧告)が違法となる場合
退職勧奨(勧告)は,使用者からの「申込み」あるいは「お誘い」という性質ですから,労働者はこれを断る自由があります。その反面,「申込み」あるいは「お誘い」行為自体が直ちに違法行為となるわけではありません。
したがって,労働者が退職勧奨(勧告)を受けたことによって不愉快な感情をもったとしても,直ちに会社を訴えるようなことは出来ません。
もっとも,退職勧奨(勧告)にあたり,暴行を加えられたり,脅迫的言動で行われたり,執拗に行われるなど退職勧奨(勧告)行為が社会的相当性を欠いているといえる場合,退職勧奨(勧告)行為は違法であり,不法行為に該当するとして損害賠償請求が可能となる余地があります。
違法の判断基準
違法の判断基準として,過去の裁判例を見ると,労働者が退職勧奨(勧告)に応じない姿勢を明確に示し,使用者に認識させた上で,使用者がどのような行為をしたかが1つの基準となっています。
具体例としては,複数の上司による暴行,無意味な仕事の割当てによる嫌がらせ・孤立化,退職に応じないことを機に行われた配置転換・出向・降格・減給等,執拗な退職勧奨行為として1回20分~2時間15分の勧奨行為を3か月間に11回行ったケースなどがあります。
退職勧奨(勧告)を受けた場合の対応方法
退職勧奨(勧告)を受けた場合の対応方法として,以下が考えられます。
- まずは,解雇の意味なのか,退職勧奨(勧告)の意味なのか確認をしましょう。
- 使用者に退職を勧める理由を確認しましょう。
- 使用者がいう理由に思い当たる節があるか,理由を教えてくれない場合も,何か会社が退職を勧める思い当たる節があるか考えます。
- 会社による配置転換の示唆の有無及び内容の確認。
- その場では回答をしない。
- 会社が退職を勧める理由から考えて,退職勧奨(勧告)を拒否し,その後解雇された場合,解雇が無効と判断される見込みを弁護士に相談する。その上で,会社を辞めたいのか,辞めたくないのか,条件次第(退職金等)なのかを考える。
- 退職勧奨(勧告)を断った後も,退職勧奨(勧告)が執拗な場合,日時,場所,勧奨した者,態様(録音がベスト),回数を記録し,証拠化できるようにする。
- 今後,解雇された場合に争うための証拠資料として,就業規則,賃金規程,退職金規程,福利厚生規程,給与明細等を収集する。
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